地区の歩み・概要
手打地区は、甑列島の最南端に位置し、三方を海に囲まれています。地区の前側には約1㎞の砂浜が続く手打湾、後側には約37万㎡の水田を擁しています。
手打の地名について、源平の合戦に敗れた平家の落人がこの地に流れ着き、「ここは良い所だ」と言って「手を打った」ことから「手打」という地名がついたとの伝説もあります。
明治から昭和の初期にかけて、甑島の中では「手打1000軒、里1000軒」といわれ、島内最大の集落として、約4000人が居住していましたが、現在は、約820人が住んでいます。
悠久の歴史と離島の特性を秘めるこの地には、人々を楽しませる名所や旧跡も数多くあります。弥生時代の土器が出土した貝塚や、石垣塀の続く旧武家屋敷道路、江戸時代に異国船の渡来を監視した番所跡、明治期に設けられて約110年の歴史を持つ釣掛崎(つりかけざき)灯台や明治期にこの地が珊瑚景気で栄えたときに建てられたという法雲寺などが今も残っています。
また、新しくは、映画「釣りバカ日誌」のロケ地となった砂丘や歌手・森進一さんの母親のゆかりの地として建てられた「おふくろさんの歌碑」、児童文学作家・椋 鳩十著「孤島の野犬」に登場する甑島にすんでいた野犬にちなんで建てられた「野犬像」、映画「釣りバカ日誌9」のロケが行われた砂浜や、テレビドラマ化された漫画「Dr・コトー診療所」のモデルとなった「手打診療所」、そして、九州唯一の「海洋深層水の取水施設」などもあります。
さらに、特産品としてこの海洋深層水を利用した水産加工品、焼酎、みそなどの地場産品も製造されています。
夏場の観光施設なども充実しています。観光遊覧船やスキューバダイビングなど、海にちなんだ観光を楽しむことができます。
世帯数約430世帯・人口約820人で構成する手打地区コミュ二ティ協議会は、すべての地区住民が参加し、「自然の恵みと・思いやりの心に満ちた・活力ある地域づくり」を目指し、活動を続けています。
手打音頭
「手打音頭」は昭和20年代に作られ、当時の手打地区は人口約4,000人、小学校児童数約600人、中学校生徒数約300人を数え、地区の歴史の中でも一番躍動に満ちていた時代でした。この歌の中には、地域を抱えて今も残る自然とともに当時の地区における活動の姿が凝縮されているようです。
その頃から半世紀を経たいま、過疎化、少子高齢化の中にある私たちは、再び当時の活気ある手打地区が蘇ることを願いながら、この歌を大切に歌いつないでいます。
史 跡
法雲寺(明治時代建立)・大照時(明治時代建立)・新田神社(明治時代建立)・諏訪神社・旧武家屋敷通り(武家支配時代からの石垣街道)・津口番所跡・岩穴・経塚・釣掛崎灯台(明治29年の設置)
伝統芸能
トシドン
トシドンは国の無形民族文化財に指定され、大晦日に3つの自治公民館が主体となり、トシドンの面をかぶった青年が幼児のいる家庭を回り幼児のしつけを行う伝統行事です。
民 芸
ヤンハ踊り
ヤンハ踊りは手打港地区にあり、舞踊の拍子、あるいは囃子、踊りの始めが舞踊の名称となっていいます。太鼓踊り
太鼓踊りの所在は、手打本町集落であって盆の踊りともいい凱旋、祝賀の踊りと言われています。
武者踊り
武者踊りの所在は、手打麓集落であって出陣、奏功の踊りといわれ、中役者、外回り、その他諸役者の人数を合わせて総勢140人程になる行列踊りです。棒踊り
手打本町にあって太鼓踊りとともに盆踊りともいわれている。集落の大きな行事や祝賀の時に出演しています。主なイベント・行事
手打ウォーキング大会
手打地区コミュ二ティ協議会が主催し、地区の皆さんが一緒になって行うウォーキング大会です。歩きながら手打の自然の美しさと豊かさを改めて感じることができるイベントです。
どろんこスポーツ大会
手打の水田を利用し、泥まみれになりがら行うバレーボール大会です。いつもとはひと味ちがうバレーボールに珍プレー・好プレー続出の楽しい行事です。
運動会
地区の皆さんと子供たちが一緒になってスポーツを楽しむ年に一度の大運動会です。グランドには万国旗と大漁旗が掲げられ、甑島ならではの運動会の雰囲気をだしています。子どもも大人も一生懸命に競技する姿は地区の結束力を感じます。
舟こぎ大会
盆の行事のひとつ、舟こぎ大会です。若者たちがチームで舟にのり、息を合わせオールを漕ぎゴールを目指ざします。港は大きな歓声と水しぶきに包まれます。
壮行会
甑島には高校がありません。中学を卒業する生徒は高校に進学するために島を離れなければなりません。彼らの未来と健康を祈り励ますために地区の人たちや先生方などが集まり、生徒を囲んで壮行会を開催しています。
相撲大会
地区内にある新田神社で開催される相撲大会です。まわしに最初は照れくさそうにする子どもたちですが、いざ取り組みになると真剣な目で力一杯相撲を取る姿は毎年楽しみな光景です。
夏祭り
地区で最大のイベントが手打夏祭りです。毎年盆の13日と14日に催されます。帰省者や観光客も加わり、地区はとても賑やかな時期を迎えます。
海開き
海の安全を祈り、海に入ることができる喜びを祝う行事です。
主な施設・名所
下甑郷土館
甑島や下甑村の歴史・文化が展示されています。甑島の歩みをここで知る事が出来ます。また、郷土のすばらしさを再確認できる場所でもあります。
武家屋敷通り
下甑の歴史を紐解くと、平家の落人がここ手打に住処を構えたとも云われています。玉石垣の整然と続く道は美しく地区の宝となっています。
おふくろさんの碑
森進一さんのお母さんは、ここ手打地区の出身です。この碑は、縁で建立されました。碑文は、川内康範先生の直筆によるものです。
孤高の犬
椋鳩十先生の書かれた「孤島の野犬」の中に甑島にすんでいた野犬が登場します。椋先生は、私たちの下甑を何年にもわたって訪れ、野犬についての話を聞いたことをもとにして、この物語を書かれました。この感動的な名作が生まれたことを記念して椋先生のご遺族の同意を得て「孤島の野犬」像を建立しました。
釣掛崎灯台
明治期に設けられて約110年の歴史を持つ釣掛崎(つりかけざき)灯台は見晴らしの良い場所にあり、甑島の海を一望できます。
ダイビング
甑島には数多くのダイビングスポットがあります。手打地区にある「こしきウォーターワールド」では甑島の海の美しさが体験できるダイビングツアー開催しています。